不動産クラウドファンディングにかかる税金と確定申告について

不動産クラウドファンディングの分配金は、税法上の「雑所得」に分類され、総合課税として所得税の計算を行うことになります。

株式投資に対する税金は発生した利益の種類によって計算方法が異なり、売買差益は「譲渡所得」、配当金は「配当所得」の対象です。

不動産クラウドファンディングの分配金は株式投資で発生した利益とは課税対象区分が違いますし、株式や投資信託との損益通算もできません。

監修者プロフィール

元税務署職員 平井 拓

こちらの記事はかつさんどが書いた原稿を基に、元税務署職員の平井 拓さんに監修・リライトを行って頂きました。

平井さんはマネーの達人税金に関するコラムを執筆されています。
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不動産クラウドファンディングの税率

不動産クラウドファンディングの分配金は、投資家へ支払われる際に事業者が源泉徴収を行います。

そのため、投資家の登録口座などに振り込まれる金額は、事業者が源泉徴収税額を差し引いた額となり、分配金をそのまま受け取ることはできません。

源泉徴収は事業者等が税金を天引きする制度で、分配金に対する源泉徴収の税率は20.42%です。
(所得税20%、復興特別所得税0.42%)

例えば5%の想定利回り、運用期間12か月のファンドに20万円投資し、ファンドが無事に運用・償還された場合、分配金は10,000円発生しますが、投資家に振り込まれる額は7,958円になります。

  • 投資金額20万円×利回り5%=10,000円(分配金)
  • 10,000×20.42%(税率)=2,042円(源泉徴収税額)
  • 10,000-2,042=7,958円(税引後の分配金)

不動産クラウドファンディングの確定申告は?

所得税は、1年間で発生した所得に対して課される税金で、原則確定申告で納める税額を計算し、納付(還付)することになります。

確定申告が必要になる主なケース

  • 給与所得(年末調整済)以外の所得が20万円超ある場合
  • 給与収入が2,000万円を超えている場合
  • 年末調整未済、個人事業主など所得税の精算が完了していない場合
  • 医療控除や住宅ローン控除を適用する場合など

雑所得は給与所得や不動産所得など、他の所得とは分けて所得金額を計算することになり、不動産クラウドファンディングの分配金を得た場合、確定申告が必要になることがあります。

分配金が20万円を超えるときは、確定申告をやらなければならない可能性が高いため、申告手続きを前提で準備を進めた方がいいでしょう。

一方、年末調整済みの給与所得者の方が得た分配金が20万円以下の場合、他に所得が無ければ確定申告をしなくても問題ありません。

※確定申告の詳しい情報については、税務署や税理士に問い合わせるか、国税庁のサイト等を参照してください。

万が一損失が出た場合は?

損失が発生した場合、他の雑所得との損益通算はできますが、給与所得など他の所得との損益通算は認められていません

また、株式投資で発生した損失額は、最大3年間繰り越すことができるケースがあるのに対し、不動産クラウドファンディングの分配金(雑所得)は、繰越控除の対象外です。

不動産クラウドファンディングの損益は、事業者から発行された支払調書など、年間取引が分かる証明書をベースに計算します。

確定申告書を作成する際には、収入金額だけでなく必要経費も記載することになるので、関係書類は大切に保管してください。

株式投資や投資信託で損失が出た場合は、確定申告することで3年間に渡り、損失の繰越控除ができます。
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税法上の所得の種類は10種類

所得税法では、所得の性格などに応じて10種類に区分し、種類ごとに所得金額を計算することになります。

<所得区分>

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

雑所得は、雑所得以外の所得のいずれにも該当しない所得が分類される区分であり、不動産クラウドファンディングの分配金は性格などの理由から雑所得に該当します。

計算方法は所得区分ごとに異なるため、所得区分を間違えてしまうと所得税額を正しく算出することはできませんので、確定申告を行う際は収入ごとに該当する所得区分を確認し、区分ごとに所得金額を計算してください。

<雑所得に該当する主な種類>

  • 不動産クラウドファンディングの分配金
  • 公的年金等
  • 副業に係る所得
  • 生命保険契約等に基づく年金

こちらの記事はかつさんどが書いた原稿を基に、元税務署職員の平井 拓さんに監修・リライトを行って頂きました。

監修者プロフィール

元税務署職員 平井 拓

元税務署職員 平井 拓さん

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。

税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。

脱税は嫌いですが、節税は好きです。
少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。

平井さんはマネーの達人税金に関するコラムを執筆されています。
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