不動産デジタル証券(不動産ST)とは?
不動産デジタル証券(不動産ST)とはブロックチェーン技術を活用し、不動産などの権利を小口化したものです。
1口10万円ほどの小額から、質の高い大型不動産への投資が可能となるのが最大の特徴です。
運営者2名も実際に投資しており、分配金をもらい、評価損益がでています。
目次
デジタル証券とは?
デジタル証券とは、「ブロックチェーン技術」を活用して電子的に発行された有価証券の権利を小口化や移転が可能なトークンにしたものです。
ブロックチェーン技術とは、過去の取引履歴を1本の鎖のようにつなげて記録する技術
株式や債券、投資信託、不動産などの権利をデジタル化したもので、ST(Security Token)とも呼ばれます。
デジタル証券の特徴
デジタル証券の特徴は、従来の証券に比べて発行や取引が容易にできることです。
また、簡単に小口化することができ、売買が可能となっています。
ブロックチェーン技術の特性により、証券の取引記録は改ざんが難しく、高い透明性が確保されます。
デジタル証券の発行と取引は、セキュリティ・トークン・オファリング(STO)という手法で行われます。これは、デジタル証券を活用した新たな資金調達手段で、発行企業は自社で投資家を募集することも可能です。
デジタル証券は、2020年に施行された改正金融商品取引法により、「電子記録移転権利」として法制度化され、金融機関での取り扱いが可能となりました。
不動産デジタル証券とは?
不動産を小口化したデジタル証券を「不動産デジタル証券/不動産ST」と呼びます。
1口10万円ほどの少額から投資が可能で、個人では投資が難しい優良な大型の不動産に投資が可能なため、今注目の投資商品のひとつになっています。
不動産STを保有することで、投資対象物件から生じた賃料収入や売却益をデジタル証券の保有口数に応じて受け取ることが可能です。
保有中には売買が可能な時期もあり一定の流動性も確保されています。
不動産クラファン、REITとの違い
不動産デジタル証券と、不動産クラファン、REITとの違いです。
不動産 デジタル証券 |
不動産 クラファン |
REIT | |
---|---|---|---|
投資対象物件 | マンション、ホテルなどの大型不動産 | マンション、ホテルなど中小規模物件 | オフィス、ホテル、マンションなど複数の大型物件 |
投資単位 | 10万円~ | 1万円~ | 5万円ほど~ |
運用期間 | 5~7年 | 6か月~24か月が多い | 決められていない |
価格変動 | 緩やか | なし | 変動率は高め |
投資中の売却 | 一定期間中に可能 | 途中解約できない場合が多い | 証券取引所でいつでも売却可能 |
利益の種類 | 譲渡所得・配当所得 | 雑所得 | 譲渡所得・配当所得 |
ALTERNAは不動産デジタル証券を提供する注目の事業者
ALTERNAは三井物産グループが運営する注目の事業者です。
デジタル証券を通じて不動産などの「安定資産」に投資できます。
トチクモ運営者二名も投資中。
ALTERNAの詳しい説明は下記のページで行っています。
ALTERNAのメリット:地震リスクへの開示力が高い
不動産投資全般としてのリスクに自然災害リスクがあります。
大きな自然災害により不動産市況全体や建物の損壊が生じた際には、収益の減少または運営費用が増加し、投資損益に影響が出る場合があります。
特に日本においては、投資期間中に大きな地震が起こるリスクを常に抱えている状態と言えます。
大きな地震への備えとして、J-REITは「地震PML※」を用いたリスク評価と基準を設け、開示している投資法人があります。
※地震PML(地震時予想最大損失率、Probable Maximum Loss)とは、475年に一回程度起こる可能性がある大地震による損害額が、建物の補修費や再調達価格に対してどの程度になるかを評価した指標。地震PMLが低いほど地震に強い物件といえ、地震PMLが15%を超える物件には地震保険の付保等の対策が必要とされている。
地震PML(%) | 危険レベル | 想定被害の程度 |
---|---|---|
0-10 | 非常に低い | 建築物の被害は軽微で簡単に補修可能 |
10超~20 | 低い | 部分的に限定的な被害 |
20超~30 | 中位 | 重大な構造上の被害があり、建物閉鎖による修繕が必要な可能性(中破) |
30超~60 | 高い | 部分的に構造上の崩壊被害があり、大きな経済的な損失が伴う(大破) |
60超 | 非常に高い | 建物全体に倒壊の危険性があり(全壊) |
投資対象が比較的大型物件が多いJ-REITは、地震PML が20%を超える物件は投資対象から除外しています。
ALTERNAは、投資対象物件に地震PML調査を実施しており、投資前に閲覧できる「目論見書」に記載しています。
ALTERNAの投資対象物件は、耐震性に優れ地震PMLが低い物件が多くなっていることがわかります。
案件名 | 地震PML(%) | 調査会社 |
---|---|---|
三井のデジタル証券~浅草・まちなか旅館~ | 6.5% | 東京海上ディーアール |
三井のデジタル証券~浅草~ | 8.5% | SOMPOリスクマネジメント |
三井のデジタル証券~日本橋・人形町~ | 7.9% | 東京海上ディーアール |
三井のデジタル証券~横浜~ | 4.6% | SOMPOリスクマネジメント |
三井のデジタル証券~熱海温泉~ | 10.2% | 東京海上ディーアール |
三井のデジタル証券~京都・三条~ | 0.2% | SOMPOリスクマネジメント |
三井のデジタル証券~日本橋~ | 11.4% | SOMPOリスクマネジメント |
地震はいつ起こるか分からないため、地震による被害を根拠のあるデータから予測できる物件に投資することが重要です。 投資対象が比較的規模の小さい物件が多い不動産クラウドファンディングは、現状として地震PML調査をしている事業者は少ないです。
ALTERNAは地震リスクに対しての開示力が高く、地震の被害が少ないと予測される投資対象物件のみを選定している点は、投資家保護に繋がり、信頼して投資できるメリットといえます。
デジタル証券の取り扱い
デジタル証券・STを取り扱っている事業者は、単独ではALTERNA、新しく登場した不動産ST事業者「Hash Dash(ハッシュダッシュ)」などがあります。
また、SBI証券は、主要ネット証券で初めてSTを取り扱いをはじめました。
SBI証券では、REITの いちごオフィスリート投資法人(8975)、いちごホテルリート投資法人(3463)を運営する、いちごの組成した案件や、KDX不動産投資法人(8972)を運営するケネディクスが組成した案件などを取り扱っています。(ケネディクスはbitREALTYを運営)
事業者 | ALTERNA | Hash Dash | SBI証券 |
---|---|---|---|
最低投資金額 | 10万円~ | 10万円~ | 10万円~ 100万円 |
利回り | 3.0%~ 4.3% |
4.0% | 3.18%~ 4.1% |
運用期間 | 58か月~ 62か月 |
84か月 | 54か月~ 84か月 |
投資対象 | レジデンス、ホテル | オフィス | レジデンス、物流施設 |
今後デジタル証券・不動産STは、REITで運用されるような大型の物件に少額から投資でき、常に価格変動がない投資商品として、不動産クラウドファンディングと並び投資の選択肢のひとつになっていく予測がされています。
SBI証券に不動産STについてインタビューしました
SBI証券に不動産STについてインタビューを行いました。インタビュアーは、かつさんど。
姉妹サイトのマネーの達人にて記事化しています。
デジタル証券に関する質問
デジタル証券に関するよくある質問です。
不動産デジタル証券はどのように監視・管理されますか?
不動産デジタル証券は、ブロックチェーン技術を用いて監視・管理されます。
これにより、取引記録が改ざんされにくく、高い透明性が確保されます。
プラットフォーム自体も規制当局による監督を受けることが一般的です。
不動産デジタル証券の収益はどのように計算されますか?
収益は、対象不動産の賃料収入や売却益に基づきます。
これらの収益は、トークン保有者に対して分配されます。
収益計算は、プラットフォームが提供する詳細な報告書に基づいて行われます。
不動産デジタル証券はどのようにして売却できますか?
不動産デジタル証券の売却は、購入と同様にオンラインプラットフォームを通じて行います。
売却希望価格を設定し、プラットフォーム上で他の投資家に対して販売を行います。
流動性が高い市場では、迅速に売却できる場合もありますが、売却のタイミングや市場状況に注意が必要です。
不動産デジタル証券に投資する際の注意点は何ですか?
プラットフォームの信頼性や投資対象物件の評価、運営会社の実績を確認することが重要です。
また、流動性や税制面での扱いについても理解しておくことが必要です。
リスク分散のために複数の証券に投資することも検討しましょう。
不動産デジタル証券の市場はどのように成長していますか?
不動産デジタル証券の市場は、ブロックチェーン技術の普及とともに急速に成長しています。
多くのプラットフォームが新しい投資機会を提供し、投資家の関心も高まっています。
今後さらに規制が整備されることで、透明性と信頼性が向上し、さらなる市場拡大が期待されています。
運営者2名の投資実績
トチクモ運営者のかつさんどとカブスルは、三井物産グループが運営するALTERNAにて不動産デジタル証券に投資しています。
事業者 | 投資家 | ファンド名 (投資額) |
分配金 (税引後) |
評価損益※ |
---|---|---|---|---|
ALTERNA | かつさんど | 5ファンドに投資中 (360万円) |
5万8,135円 | +12万3,556円 |
カブスル | 2ファンドに投資中 (20万円) |
2,379円 | +4,409円 |
STは基準価額に変動があるため、基準価額が発行価格より大きい場合には「評価益」、基準価額が発行価格より小さい場合には「評価損」となります。