不動産クラウドファンディングとREITの違い

不動産クラウドファンディングとREITは、どちらも従来からある不動産投資を小口化した投資商品です。

現物の不動産投資は物件を購入する際に大きな資産が必要ですが、不動産クラファンとREITは少ない金額から手軽に投資することができ、注目を集めています。

不動産クラウドファンディングとREIT、このふたつの商品の特徴と違いを説明していきます。

不動産クラウドファンディング REIT
利回り 2%から10%の中から選択可能 3%から4%の銘柄が多い
期待できる利益 インカムゲイン 主にインカムゲイン、キャピタルゲインもあり
運用期間 ファンド毎に決まっている 特に決まっていない
価格変動リスク なし あり
流動性 途中解約できない場合あり 市場ですぐに現金化可能
対象不動産 1件で小規模の場合が多い 複数で大型の不動産が多い

REITとは?

REITはReal Estate Investment Trustの略語で、不動産投資信託という意味です。
日本版REITはJ-REITとも呼ばれています。

REITは投資家から集めた資金で、複数の不動産を運用し、それにより得た収入を投資家に分配する投資商品です。

REIT運営会社は投資法人を設立し、不動産投資と運用を証券化しています。

この投資法人は、投資家に得た利益の90%以上を分配することで法人税が課されないという税法上の制度があります。

不動産クラウドファンディングとは?

不動産クラウドファンディングは不動産投資を小口化し、個人がインターネットを通じて小額から投資できる投資商品です。

従来の不動産投資に必要な大きな資金や様々な手続き、管理なども必要ありません。

集めた資金は不動産のプロである事業者が不動産を運用し、その運用益や売却益を投資家に分配する仕組みです。

価格変動リスクと流動性の違い

主な違いとして、価格変動リスクと流動性の違いがあります。

REIT 不動産クラウドファンディング
価格変動リスク あり なし
流動性 市場ですぐに現金化可能 途中解約できない場合あり
向いている人 アクティブな投資をしたい人 資金管理を楽にしたい人

REITの価格変動リスクと流動性

REITは、証券取引市場での売買が可能で、ネット証券会社を通じて売買することが可能です。(2021.9時点で60数銘柄)

このため株式と同じように、マーケットが開いている日には価格変動があります。
購入価格から上がることもあれば、逆に下がってしまうことも考えられます。

利益を得るには株売買

価格が上がった際に売却すれば、売買益を得ることができますが、価格が下がった際には得られる分配金より損する場合もあります。

投資をしてから利益や損失がいくらになるのかがすぐに確定できない面がありますが、市場での売却ですぐに現金化できるメリットもあります。


現在、REIT分配金の平均利回りは3%から4%ほどで推移しています。

こちらの利回りも価格変動や各銘柄の個別の状況により上下します。

上手くいけば、インカムゲインの分配金とキャピタルゲインの売買益、両方を狙える商品ですが、価格変動リスクがあるため、銘柄の売買や変更など投資後には管理が必要になります。

以上のことから、REITはアクティブな投資をしたい人に向いていると言えます。

不動産クラウドファンディングの価格変動リスクと流動性

不動産クラウドファンディングは日々の価格変動がありません。

募集の際に運用期間が決まっており、投資が成功すれば、あらかじめ決められた利回りで利益を受けることができるため資金管理が楽です。

ファンドにより、運用終了前に早期償還される場合があります。

REITと違い市場での売買はできないため、流動性が低いデメリットがあります。

使う目的のない余剰資金で投資を行うようにしましょう。

利回りはファンドにより、2%から10%と幅広い利回りの商品から投資家のリスク許容度により選ぶことができます。

投資全般において言えることですが、利回りとリスクは正比例します。

利回りの高いファンドに投資することは、その分だけリスクを背負うことになります。

事業者がサービスを開始した際に募集する、第1号の案件は利回りが高いことがありますが、これは投資家に還元する意味もあり「お宝案件」と呼ばれています。

経験上、お宝案件以外で6%から7%以上の高利回りファンドに投資する際は、充分な分析をして小額から投資することをお勧めいたします。

投資後には特別な管理の必要がないため、運用終了まで待つだけの投資になります。

不動産クラウドファンディングは、日々マーケットの値動きを確認する時間の無い人にも向いている投資商品です。

投資対象不動産の違い

次に、不動産クラウドファンディングとREITは、投資対象不動産の違いがあります。

REIT 不動産クラウドファンディング
対象不動産 複数で大型の不動産が多い 1件で小規模の場合が多い

REITの投資対象不動産

REITの投資対象不動産は商業施設、オフィスビル、賃貸住宅、物流施設、ホテル、インフラ施設などがあります。

個人では投資が難しい大型の不動産を運用しています。

ひとつの銘柄で複数の不動産に投資する形になることが特徴です。

ホテルや物流施設に特化して投資している銘柄や、色々な対象不動産を組み合わせて構成している銘柄もあります。

投資の途中でも運営する投資法人の不動産の売買により、銘柄の対象不動産が変更になる場合があります。

REITは複数の銘柄を持つことにより分散投資にもなりますが、投資対象の物件数が多く、価格変動や景気による収益変化が大きくなり、銘柄選びには難しさもあります。

不動産クラウドファンディングの投資対象不動産

不動産クラウドファンディングは、投資対象不動産が1件のみのファンドが多く、REITと比べると小規模の賃貸マンションや施設が投資対象となっています。

投資家から集めた資金で、事業者が不動産を直接購入・運営しますので、複数の不動産を管理するよりも素早く柔軟に管理をすることができます。

ファンドの対象物件の立地や内容が良ければ、景気による影響をあまり受けないことも考えられます。

事業者によっては収益が当初の予測を下回っても、投資家の損失を軽減する仕組みを採用しているファンドもあります。

このように不動産クラウドファンディングは、個人が行う不動産投資に近い物件が投資対象になっているため、より身近で投資判断もしやすい傾向があります。

また事業者から詳細な物件情報も開示されているため、募集前までに不動産の内容をしっかりと分析したうえで、投資することができるメリットがあります。


最後にもう一度、比較表を掲載します。

投資目的と投資資金の性格により、金融商品を選択していきましょう。

REIT 不動産クラウドファンディング
利回り 3%から4%の銘柄が多い 2%から10%の中から選択可能
期待できる利益 インカムゲインとキャピタルゲイン インカムゲイン
運用期間 特に決まっていない ファンド毎に決まっている
価格変動リスク あり なし
流動性 市場ですぐに現金化可能 途中解約できない場合あり
対象不動産 複数で大型の不動産が多い 1件で小規模の場合が多い